こんにちは。ドット会中の人です。
大学では履修の手引きなどが配られ,履修の組み方に翻弄されています。
また,サークルや一部の授業で選考があるので,受験期から散逸していたアイデンティティを,そろそろ収束させなければな,とも思い始めています。
本ももう少し読みたいですが,意外と時間がない…。

さて,中の人は東大理一に現役で合格しましたが,
実は今まで人生で塾・予備校というものに通ったことがありません

高校受験の時も,大学受験の時も,自宅学習で乗り切りました。
(Z会の通信教育は利用していました)

というわけで,今回は,自論である,
「東大現役合格に塾・予備校は必要ない」について説明したいと思います。
(いろんな意見があることは分かっています)

また,僕の受験勉強における方針が,今回述べることの根拠にもなっていますので,
よろしければこちらもご覧ください。

※自分の経験に沿って話しているので,理一・物化選択者の視点になってしまっています。理三はちょっと違うかも。文科は知りませんが,塾に行かなくてもよい,という点は同じ気がします。

塾ってどういう場所なの?

まず,「東大入試に現役で臨む」上で塾が果たす役割についてまとめたいと思います。

  • 学校の授業のレベルよりやや高い難易度の問題の演習や講義を通じて,発展的な問題への解答力を高める役割

こんな感じでしょうか。おそらく,東大を受けようとしていて塾に通っている人たちは,学校の授業でなかなか取り組めない,発展的な問題,東大に合う問題を塾で対策しよう,と思っているのだと思います。

さあ,本当にこの「役割」を担う塾は必要なのか,見ていきます。

「塾でしかやらないこと」は入試に出てこない

まず大前提ですが,そもそも入試には,塾でしか習わないことは出てきません
公立高校・国公立大学は,基本的に学習指導要領に沿った出題がされます。
これは東京大学も例外ではありません

確かに,学校で扱う問題が東大のレベルに合っていない,ということもあるでしょう。
しかし,だからと言って,塾に行く必要は無いと思います。

  1. 塾ですらやらないかもしれない
  2. 塾に行かないでも手に入る
  3. 塾でしかやらない,と言われていることは大したことない

まず,1.について。塾で出てくる問題だからといって必ずしも東大で出てくる問題に即応しているわけではない,という事に気を付けてください。
実際,受験勉強をしていると分かりますが,塾主催の模試の過去問や,添削問題などを見ると,それらはやはり実際の入試の過去問と,ずいぶん趣が違います。駿台には駿台の,河合には河合のクセがやはりあります。塾は万能ではないのです。

2.について。東大に出てくる問題に近いものは,塾に行かなくても手に入ります
Z会の通信や,数ある参考書を使えばよいのです。

3.については,次で述べますが,基礎的対策が何より大事です。

個人的には,塾はお金がある人が娯楽として興味のある分野について楽しむためのものだと思っています。確かに,模試の過去問などでに載っている,圧巻させられるような良問を,塾に行けば講義してくれるはずなので,それはワクワクします。それを見るためには,確かにお金を払う価値はありそうなので,エンターテインメントとして塾に行くのはいいと思います。わざわざ苦しんでまで塾に行く必要はないでしょう。

発展的内容より基礎的対策を

これはよく言われることですが,全ての問題がめちゃくちゃ難しいわけではありません。
そのため,もし仮に,入試でめちゃくちゃ難しい問題が出て,
たまたま塾で対策していたためその解法が分かったとしても(もちろん,塾に行かなくても難しい問題に対処できますが),
その問題で差がつくことはほとんどないでしょう。

これには理由があります。

  • 難しい問題は解くのに時間がかかる事が多く,そもそも時間が足りない東大入試では,それを1題解く間に簡単な問題を2~3題解いた方が点数になりやすい

これに尽きます。

つまり,仮に難しい問題を解ける頭脳を持っていたとしても
その問題にトライするより,簡単な問題を落とさない方が,点が伸びるという仕組みがあるからです。

塾が焦点を当てる「発展的問題」は,それほど主戦場にはならないのです

これは東大理科に最も当てはまり,数学などでも言えます。他の教科でも概ね言えると思います。

簡単な問題を素早く解けるようになった方が有利なのは間違いなく,これは学校の授業で十分対策できます。

もちろん,僕もこの方針で行きました。東大入試よりはやや簡単な,授業の演習問題を中心に,授業を疎かにせずやっていました。とにかく基礎に抜けが無いようにしてください。あとは過去問を丁寧にやって,「どう簡単な問題が出題されているのか」を理解し,難しい問題に時間をかけすぎない,などのテクニックを身に着けていけば,十分合格できる実力は付きます

補足

難しい問題は,本番の環境で解くならもっと難しいです。そのため,本当に解ける人は少なく,差はつきません。対して,簡単な問題は思考停止でも解けるため,基礎問を落とさない対策をしておけば環境に左右されず点が取れるというのもあり,基礎的学習をした方が良いです。

(実際,僕は理科で後ろの人がうるさく集中できなかったですが,あまり思考を必要としない基礎問を着実に取れたのでそれほどビハインドにならなかったようです)

塾の勉強スタイルは非効率

僕は,基本的に塾での勉強スタイルは効率が悪いと思っています。

  • 個別指導なら別だが,苦手分野は人それぞれだから,集団講義となれば,その人それぞれの違いが捨象されてしまう
  • 講義の速度が基本的に遅い。

どちらも,自分にピッタリの勉強にすることが原理的に不可能であることに起因します。
自分で解く問題を見つけていけば,自分の苦手を常にピンポイントでヒットできます。解説も,自分で読めば,講義を聞くよりずっと速いです。また,逆にじっくり学びたいときは,自分のペースで取り組めます。あくまで自分の苦手や得意を理解し,主体的に取り組むことが前提ですが,そうすれば塾に行かない方がずっと効率的で,僕もそうでした。

自分で何を解けばよいのかわかっていると,例えば数Ⅲで漸化式の極限の問題が苦手なのであれば,それを学校で配られた問題集から探し,集中的に取り組む,などが可能であり,効率的に対策できます。

また,たまにZ会の通信に付属で映像がついてきたりするので,それを見たのですが,とにかく説明が遅すぎて,眠くなっていました。どうしてあなたが口頭で言うことを文章に起こさないんですかね,と言いたくなりました。

塾が理解を阻害する

さらに,受験方針と照らし合わせても,塾は非効率だと思います。①の「量より質」のためにも自分でやるのが良いです。塾の課題に追われるよりも,本当に自分に必要な問題をじっくりやりましょう。同じく①の「先取りより復習」ですが,これは特に中高一貫でない高校に通っている人は特にです。塾のペースは普通の高校に通う人にとっては先取りになりがちです。先取りは理解を疎かにしがちなので,気をつけましょう。(先取り学習の欠点についてはまた書きます)

僕は家で,学校の問題や買った参考書の問題をとにかくじっくり,念入りに解いていました。英語の読解文や国語現代文,古文漢文は,1つの文章に3時間程度かけて,使い倒していました。塾のペースだと,予習としてこれくらいじっくり1問1問に向き合うのは難しいのではないでしょうか。(違ったらすみません)

また,先取りはほぼせず(コロナ禍で休業中に数学Ⅲと物理の原子物理を少しやっただけ),授業のペースに合わせて学習しました。理系だと,数学・化学・物理は大体10月ぐらいに学校で全範囲が終了しますが,このペースで十分です。ただし,一度習った範囲の基礎的事項は絶対に落とさない姿勢で臨んでいました。そのため,定期テストでも理系だと95~100点が取れていました。このくらいの点数が取れていれば,基礎は固まっているので,東大入試でも点数が出せるでしょう。むしろ,塾で先取りして発展的対策をしていても,学校のテストで90点も取れないくらいだと,結局先ほど述べたように基礎問で失点してしまうので危ういでしょう。

一番の入試対策は過去問演習

過去問は本当に良いです。基礎力が盤石になったら,過去問を解いて,その力が実際の入試の形式でも発揮できるようにしましょう。

発展的問題にも取り組んで点を伸ばしたい!というのであっても,過去問の難しい問題をやれば十分対策になります。

後は取り組んだ後,しっかり解説を読み込んで,1問1問を大切にすれば,塾に行かずとも対策がしっかり行えるでしょう。

過去問は早くから取り組むことをお勧めします。それによってこそ,自分の弱点が把握でき,主体的に学習できるようになるからです。

例外:塾に行った方がよい人

次のような人は塾に行った方が良いかもしれません。

  • 苦手で,基礎すらおぼつかないような教科を持っている人

もし学校のテストなどで,平均点ギリギリしか取れないような教科があるとしたら,入試ではその教科はかなりのビハインドになるかもしれません。その教科は基礎が固まっていないからです。

自分で対策して苦手を補強できるなら良いですが,もし3年生になってもこのような教科があるのであれば,自力では無理なのかもしれません。そうすると,苦手教科の基礎をつけるためや,苦手教科を埋め合わせるために得意教科でかなりの発展的問題に対処するためには,塾に行かざるを得ないのかもしれません。ただし,塾に行ったとしても,苦手教科が1教科でもあると合格は遠くなることに注意してください。

そのようにならないため,日ごろから苦手教科を早期発見し,苦手がないようにできていれば,塾に行く必要は無いのです。

僕の模試の成績などを見ると,基本的にどの教科も飛びぬけて取れるわけでもなく,ビハインドになるわけでもない点数になっていたようです。1教科ごとでは順位がめちゃくちゃ良いわけではないですが,合計点だと志望者内で50位以内などに入ることができました。基礎が盤石で苦手教科が無ければ,一番セキュアに受験できると思います。

何となく皆が行くから塾に行く,というのはやめよう

受験方針の③にも書きましたが,皆が行っているから塾に行くのは儀礼にすぎません。いわば受験に挨拶する手段のようなものです。

実際の効果などを冷静に判断し,塾に行くべきかを考えると,
僕は塾に行かない選択肢を取りました。またそれが最も効率的だったと考えています。

また,「一応行くべきなのかな」と,塾の宣伝などに惑わされるのにも気を付けてください。
色んな数字を使っておびき寄せてきますが,対照実験ができるわけではないので,
受験生が一体どれだけを塾から学び,それが受験にいきたかはわからないのです。
その人は元から素質があり,塾に行かずとも合格できていたかもしれません。

受験期は何かと心配になりがちで,
僕も「本当に自分は勉強によって成長しているのだろうか」とよく心配になりました。
ただし,これを測ることは現実的には不可能だと思います。それぞれの問題に取り組む際も,問題との相性で点数は変動しますし,直近にやった勉強が次にやった問題に生きた,と感じることは少ないです。
点数の推移から最小2乗法などを用いて回帰直線を求める手もありそうですが,点数も難易度に影響され,また難易度の計測も難しいです。

確かに,塾の人に「君は塾に入って頑張れば大丈夫だよ~」と言われると,安心にはなるでしょうが,
こんな風に,受験勉強自体によって自分が成長したかを測るのが難しい中,
塾に行ったから受験に合格できるようになったとは,そう簡単に言えませんよね。

塾の宣伝を鵜呑みにしないことも大切です。

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ちょっと話がそれますが,受験勉強では様々な虚構を作り,自分に信じ込ませなければならない場面が多くなります。(東大2017年度現代文にも近いでしょうか)
そのことについても,今度書こうと思います。